2018年3月11日日曜日

未来形の使い分け

今回は、未来形の時制とその使い分けについて学習します。

4種類+1の未来形

以前に、未来形は「近未来形」と「遠未来形」に分けられることを紹介しました。

ベンバ語ではその2つに加えて「近未来進行形」と「遠未来進行形」も存在します。
また、現在形である "lee" 時制も未来を示す際に使われる場合があります。

例として、「走る = butuka」を各表現で表現すると以下のようになります。


  • Nalabutuka. ("ala" 時制: 近未来形)
  • Nkabutuka. ("ka" 時制: 遠未来形)
  • Nakulabutuka. ("akula" 時制: 近未来進行形)
  • Nkalabutuka. ("kala" 時制: 遠未来進行形)
  • Ndeebutuka. ("lee" 時制: 現在形)


"ala" 時制と "ka" 時制の復習も含め、それぞれの時制について説明をしていきます。

"ala" 時制 ⇒ 近い未来

"ala" 時制は近い未来を表す時制です。一般的には発言をした当日中の未来を表します。
よって「Nalabutuka.」を英語に訳すと、「I will run (today).」という意味になります。

以前に紹介した通り、別れの挨拶である「Twalamonana. (We will meet.)」も "ala" 時制なので当日中の再会が予想される場合に使う形となります。

"ka" 時制 ⇒ 遠い未来

"ka" 時制は遠い未来を表します。翌日またはそれ以降の未来を表します。
そのため、「Nkabutuka.」は「I will run (tomorrow or later).」となります。

別れの挨拶であれば、再会が明日以降(またはいつか分からない)になりそうであれば「Tukamonana.」となります。

"akula" 時制 ⇒ 近未来の進行動作

"akula" は近い未来の進行動作を表す時制で、英語でいうところの「will being」を表現します。"ala" 時制と同じく当日中が予想される場合に使われます。

「Nakulabutuka.」は「I will be running (today).」と訳すことができます。
日本語訳であれば「Nalabutuka. ("ala" 時制) = 私は走るでしょう」に対して「Nakulabutuka. ("akula" 時制) = 私は走っているでしょう。」といったところでしょうか。

"kala" 時制 ⇒ 遠未来の進行動作

"kala" は遠い未来の進行動作を表す時制です。"ka" 時制と同様、明日かそれ以降が予想される場合に使われます。

もう予想が付くかと思いますが、「Nkalabutuka.」は「I will be running (tomorrow or later).」となります。

"lee" 時制 ⇒ 直後の未来

イギリス英語において、進行形表現である「am doing」は未来表現としても使われます。
それと同様に、現在(兼現在進行形)である "lee" 時制でも未来の動作を示すことができます。

時間軸としては、"ala" が「今から数分~数時間後(今日中)」くらいだとすると、"lee" は「今から直ぐに」といったような直後の未来であるというニュアンスを持っています。

まとめ

未来を示す時制をまとめると以下のようになります。

  • "ala" 時制 ... 本日中の未来
  • "ka" 時制 ... 明日以降の未来
  • "akula" 時制 ... 本日中の未来の進行表現
  • "kala" 時制 ... 明日以降の未来の進行表現
  • "lee" 時制 ... 直後の未来, 現在の動作

表現例


  • Nshikalemba ibuuku. = I will not write a book (tomorrow or later).
  • Tamwalasambilila lelo. = You will not learn today.
  • Mwakulaseka. = You will be laughing (today).
  • Bakalacinja. = They will be changing (tomorrow or later).


単語まとめ


  • 名詞
    • ibuuku (amabuuku) = book
  • 動詞
    • -butuka = run
    • -lemba = write
    • -sambilila = learn
    • -seka = laugh
    • -cinja = change
  • その他
    • lelo = today

2018年3月10日土曜日

現在形の使い分け

今回は、現在形の種類とその使い分けを学習します。

3種類の現在形

ベンバ語には現在形にあたる時制が3種類あります。

例えば、英語の「He goes to school on foot. (彼は歩いて学校に行きます)」という文に対して、ベンバ語では以下3種類の表現が可能です。
(「ya = go」、「ku sukulu = to school」、「na makasa = on foot」です)

  • Aleeya ku sukulu na makasa. ("lee" 時制)
  • Alaya ku sukulu na makasa. ("la" 時制)
  • Aya ku sukulu na makasa. (時制無し)

時制によって「Aleeya ("lee" 時制)」「Alaya ("la" 時制)」「Aya (時制無し)」に分かれましたが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

"lee" 時制 ⇒ 現在の動作

"lee" 時制はシンプルに「現在の動作」を表します。また、ごく近い予定を指す場合もあります。

なので「Aleeya ku sukulu na makasa.」は、「彼は学校へ向かって歩いている ⇒ (現在進行)」または「彼は今から学校へ歩いて行く ⇒ (近い予定)」といった意味合いの表現と言えます。

なお、参考書によっては「"lee" 時制 = 現在進行形」と説明されることもありますが、必ずしも英語の「be doing」と合致させる必要はありません。例えば英語では「I'm wanting」とは言いませんが、「Ndeefwaya (I want)」は "lee" 時制が使えます。

"la" 時制 ⇒ 自発的な習慣

"la" 時制と "時制無し" は、いずれも「習慣的な動作」を表します。

そのため「Alaya ku sukulu na makasa.」と「Aya ku sukulu na masaka.」はいずれも「彼は学校に徒歩で通学をしています」といった意味合いとなります。

では「Alaya ("la" 時制)」と「Aya (時制無し)」の違いですが、"la" 時制では自発的な習慣というニュアンスが含まれます。今回の例だと「彼は徒歩で通学するようにしている」といった感じでしょうか。

他の例を挙げるなら、例えば「私は毎朝コーヒーを飲む = Ndanwa kofi uluceelo lonse」と言いたい際には "la" 時制の方が適しているでしょう。

時制無し ⇒ 必然的な習慣

対して時制がない場合は、「必然的な習慣 = 当たり前のこと / そうしないといけないこと」という意味合いが含まれてきます。

つまり「Aya ku sukulu na masaka.」は「彼は徒歩通学が当たり前の環境にいる」といったイメージでしょうか。

他の例であれば「私達は夜に眠る = Tusendama ubushiku」などは時制なしで表現するべきものとなります。

まとめ

3つの時制をまとめると以下のようになります。

  • "lee" 時制 ... 現在の動作, 直後の予定
  • "la" 時制 ... 習慣の動作 (自発的)
  • 時制なし ... 習慣の動作 (必然的)

ただし、"la" 時制と "時制なし" の違いについては、参考書によっては「どちらも習慣の動作です」で済まされているものもあります。実際にはそこまで使い分けはしなくても良いのかもしれません。(そのうちザンビア人に聞ける機会があったら確認してみようと思います)

表現例

  • Ndeesambilila icibemba. = I am studying Bemba language.
  • Muleefwaya icooni. = You want a bird.
  • Balapeepa. = They take tabacco (as a habit).
  • Tatubomfya iminwe yesu = We don't use our fingers (as a habit).

単語まとめ

  • 名詞
    • ulukasa (amakasa) = foot
    • isukulu (amasukulu) = school
    • kofi (amakofi) = coffee
    • uluceelo = morning
    • ubushiku = night, day
  • 動詞
    • -ya = go
    • -nwa = drink
    • -sendama = sleep
    • -peepa = smoke
  • その他
    • ...onse = every, all

2018年3月8日木曜日

「またね」の伝え方

今回は、「またね (We will meet)」の伝え方を学習します。

2種類の「またね」

人と別れる際に「またね」と伝えたい場合、ベンバ語では「We will meet. (また会うでしょう)」という意味のフレーズを用います。

しかしその際、以下の2表現から適切な方を選んで発言する必要があります。
(「monana」は動詞で「meet / see each other」という意味です)

  • Twalamonana. (トゥワラモナナ) = We will meet. (本日中)
  • Tukamonana. (トゥカモナナ) = We will meet. (明日か更に先)

英語ではどちらも「We will meet.」と訳されてしまうのですが、ベンバ語では括弧内にあるように「どのくらい未来か」によって明確に区別されます。

Twalamonana (また直ぐに)

「Twalamonana」は、また直ぐに、一般的には当日中に再会しそうな場合に使われる「またね」です。

表現を要素に分解すると以下のようになります。

  • Twalamonana. = We will meet. (当日中)
    • Tu = We
    • ala = "ala" 時制 (近未来)
    • monana = meet

ベンバ語には未来形に「近未来」と「遠未来」の2種類があり、近い未来 (一般には当日中) に起きそうな場合には近未来形である "ala" 時制が用いられます。
英語であれば「See you later.」が意訳として近いニュアンスです。

Tukamonana (またいつか)

対して、「Tukamonana」は、またいつか、一般的には明日かそれ以降に再会しそうな場合に使われます。再会するかどうか分からない場合も「Tukamonana」です。

こちらも表現を分解してみます。

  • Tukamonana. = We will meet. (明日か更に先)
    • Tu = We
    • ka = "ka" 時制 (遠未来)
    • monana = meet

「Tukamonana」では遠未来形である "ka" 時制を用います。これにより遠い未来 (明日以降) であることが示唆されるのです。
英語であれば「See you tomorrow (or some day).」といった感じでしょうか。

各主語での "ala" "ka" 時制表現

"ala" 時制、"ka" 時制の場合も、主語の変化はこれまでと同様です。
以下は「monana」の代わりに、親戚表現の「mona (see)」という動詞を使って例示します。
(「monana」は「お互いに」というニュアンスを含み、「私」が主語だと少し奇妙になるため)

  • "ala" 時制
    • Nalamona. = I will see (today).
    • Walamona. = You will see (today). (単数, 敬意無し)
    • Mwalamona. = You will see (today).
    • Aalamona. = He/She will see (today). (単数, 敬意無し)
    • Baalamona. = They will see (today).
    • Twalamona. = We will see (today).

  • "ka" 時制
    • Nkamona. = I will see (tomorrow or later).
    • Ukamona. = You will see (tomorrow or later). (単数, 敬意無し)
    • Mukamona. = You will see (tomorrow or later).
    • Akamona. = He/She will see (tomorrow or later). (単数, 敬意無し)
    • Bakamona. = They will see (tomorrow or later).
    • Tukamona. = We will see (tomorrow or later).

否定表現

否定表現もこれまでの方式と違いはありません。以下にそれぞれ例示します。

  • "ala" 時制
    • Nshalamona. = I won't see (today).
    • Tawalamona. = You won't see (today). (単数, 敬意無し)
    • Tamwalamona. = You won't see (today).
    • Taalamona. = He/She won't see (today). (単数, 敬意無し)
    • Tabaalamona. = They won't see (today).
    • Tatwalamona. = We won't see (today).

  • "ka" 時制
    • Nshikamona. = I won't see (tomorrow or later).
    • Taukamona. = You won't see (tomorrow or later). (単数, 敬意無し)
    • Tamukamona. = You won't see (tomorrow or later).
    • Taakamona. = He/She won't see (tomorrow or later). (単数, 敬意無し)
    • Tabakamona. = They won't see (tomorrow or later).
    • Tatukamona. = We won't see (tomorrow or later).

表現例

  • Nkalemba icitabo. = I will write a book (some day).
  • Tukamonana mailo! = We will meet tomorrow!
  • Bushe walasambilila icisungu? = Will you study English (today)?
  • Tabaalaya. = They won't go (today).
  • Nshikafwa na iwe! = I will not die with you!

単語まとめ

  • 名詞
    • icitabo (ifitabo) = book
    • icisungu (ifisungu) = English
  • 動詞
    • -mona = see
    • -monana = meet / see each other
    • -lemba = write
    • -sambilila = study
    • -ya = go
    • -fwa = die
  • その他
    • bushe = "?" (question marker)
    • na = and
    • mailo = tomorrow / yesterday

※ 「mailo」は「明日 / 昨日」の両方を意味し、どちらであるかは文脈で判断します。

2018年3月7日水曜日

「... に行く/から来た」の伝え方

今回は、「私は ... に行く / ... から来た」の表現を学習します。

Ndeeya ku ... (私は ... に行く)

例えば「私は Ndola へ行く」という表現は以下のようになります。
(Ndola はザンビアにある都市の名前です)

  • Ndeeya ku Ndola. (ンデーヤ ク ンドラ)

前回に学習した「Ndeefwaya」と同様、「N + lee + 動詞」の構造です。
文章を要素に分解してみましょう。

  • Ndeeya ku Ndola.
    • N = I
    • dee = "lee" 時制
    • ya = go
    • ku = to
    • Ndola = Ndola

「ku」は前置詞で、ここでは英語の「to」と同じ用途で使われています。

Nafuma ku ... (私は ... から来た)

反対に「私は Ndola から来た」と言う場合には以下の表現になります。

  • Nafuma ku Ndola. (ナフマ ク ンドラ)

ここで2つ、気になる点が出てきます。
1つは「私は ... に行く」の場合と違って「Ndee」で始まらないこと、もう1つは「~から (from)」なのに先ほどと同様「ku」が使われていることです。

それでは要素ごとに分解してみましょう。

  • Nafuma ku Ndola.
    • N = I
    • a = "a" 時制
    • fuma = come
    • ku = from
    • Ndola = Ndola

まず1つめの「Ndee」で始まらない点ですが、こちらは時制が異なるためです。
「来た」なので過去形である "a" 時制が使われています。そのため、もし「私は Ndola に来ます」であれば「Ndeefuma ku Ndola.」となります。

そして2つめですが、「ku」は「to」だけでなく「from, at」としても使われます。日本語や英語の感覚からすると奇妙ですが、そういうものだと思ってください。

Mwafuma ku ... (あなたは ... から来た)

「Ndee..」の主語に関しては前回「Ndeefwaya」で変化を確認しているので、今回は「Nafuma ku Ndola」の主語を変更してみます。

  • Nafuma ku Ndola. (ナフマ ク ンドラ) = I came from Ndola.
  • Wafuma ku Ndola. (ワフマ ク ンドラ) = You came from Ndola. (単数, 敬意無し)
  • Mwafuma ku Ndola. (ムワフマ ク ンドラ) = You came from Ndola.
  • Aafuma ku Ndola. (アーフマ ク ンドラ) = He/She came from Ndola. (単数, 敬意無し)
  • Baafuma ku Ndola. (バーフマ ク ンドラ) = They came from Ndola.
  • Twafuma ku Ndola. (トゥワフマ ク ンドラ) = We came from Ndola.

「You (単数) は U じゃなかったっけ」と思われたかもしれませんが、これは「UA → WA」と変化するルールがあるためです。そのため「Uafuma → Wafuma」「Muafuma → Mwafuma」「Tuafuma → Twafuma」となっています。

Nshafuma ku ... (私は ... から来ていない)

否定表現にすると以下のようになります。

  • Nshafuma ku Ndola. (ンシャフマ ク ンドラ) = I didn't come from Ndola.
  • Tawafuma ku Ndola. (タワフマ ク ンドラ) = You didn't come from Ndola. (単数, 敬意無し)
  • Tamwafuma ku Ndola. (タムワフマ ク ンドラ) = You didn't come from Ndola.
  • Taafuma ku Ndola. (ターフマ ク ンドラ) = He/She didn't come from Ndola. (単数, 敬意無し)
  • Tabaafuma ku Ndola. (タバーフマ ク ンドラ) = They didn't come from Ndola.
  • Tatwafuma ku Ndola. (タトゥワフマ ク ンドラ) = We didn't come from Ndola.

「N + shi + a」が「Nshia」ではなく「Nsha」である点に注意してください。

補足: Naisa と Naya

違った場面でよく使われる「行く / 来る」の表現として、「Naisa (ナイサ)」と「Naya (ナヤ)」があります。

「Naisa」は例えば、家族から「ちょっと来て」と呼ばれた際に「いま行く! (Naisa!)」と答えるときに使われます。
「Naya」は、人と立ち話をしていて「じゃあ、もう行くよ (Naya.)」といった場面で使われます。

英語であれば「I'm coming.」「I'm going.」となる場面なのですが、ベンバ語では過去形 ("a"時制) で表現されています。このように、必ずしも英語や日本語との直訳が成り立つわけではないという点には注意しながら学習を進めてみてください。

なお、「Naisa」の「isa」も「come (来る)」という意味の動詞です。
「fuma」と何が違うかというと、「isa」が一般的な「come」であることに対して、「fuma」は「出てくる (come out / go out)」という意味合いを持っています。ニュアンスの違いを意識して使い分けを試みてください。

表現例

  • Ndeeya ku ng'anda. = I'm going home.
  • Muleeya kwisa? = Where are you going?
  • Tatuleeya. = We are not going.
  • Isa kuno. = Come here.
  • Fuma! Fuma! = Come out! Come out!

単語まとめ

  • 名詞
    • ing'anda (ing'anda) = home

  • 動詞
    • -ya = go
    • -fuma = come out / go out
    • -isa = come

  • その他
    • ku = to / from / at
    • kwisa = where
    • kuno = here

「...が欲しい/したい」の伝え方

今回は、「...が欲しい/したい」という要求の表現を学習します。

Ndeefwaya ... (私は ... が欲しい)

何かが欲しいことを伝える際は「Ndeefwaya + 欲しいもの(名詞)」と表現します。
例えば、以下のようになります。

  • Ndeefwaya kaloti. (ンデーフワヤ カロティ) = I want a carrot.
  • Ndeefwaya motoka. (ンデーフワヤ モトカ) = I want a car.
  • Ndeefwaya amaapo. (ンデーフワヤ アマーポ) = I want apples.

Ndeefwaya uku... (私は ... がしたい)

何かをしたいことを伝える際には「Ndeefwaya + uku + したいこと(動詞原形)」と表現します。
例えば、以下のようになります。

  • Ndeefwaya ukulya kaloti. (ンデーフワヤ ウクリャ カロティ) = I want to eat a carrot.
  • Ndeefwaya ukubomba. (ンデーフワヤ ウクボンバ) = I want to work.
  • Ndeefwaya ukuya ku Japan. (ンデーフワヤ ウクヤ ク ジャパン) = I want to go to Japan.

文法上の理解

「Ndeefwaya ukulya kaloti」を要素ごとに分解すると、以下のように直訳ができます。

  • Ndeefwaya kaloti. = I want a carrot.
    • N = I
    • dee = "lee" 時制 (nlee が ndee に変化)
    • fwaya = want
    • uku = to
    • lya = eat
    • kaloti = a carrot

ベンバ語では主語(N)と動詞(fwaya)の間に時制が入ります。時制についてはまた別途に学習しますが、"lee" 時制は英語の「現在進行形」にあたります。

また、動詞(原形)の直前に uku が付くと、「to eat」「to go」のように不定詞として扱われます。

Muleefwaya ... (あなたは ... が欲しい)

上記の文法を理解できれば、「私」以外を主語にした表現も簡単にできます。

  • Uleefwaya ukulya kaloti. = You want to eat a carrot. (単数, 敬意無し)
  • Muleefwaya ukulya kaloti. = You want to eat a carrot.
  • Aleefwaya ukulya kaloti. = He/She wants to eat a carrot. (単数, 敬意無し)
  • Baleefwaya ukulya kaloti. = They want to eat a carrot.
  • Tuleefwaya ukulya kaloti. = We want to eat a carrot.

Nshileefwaya ... (私は ... が欲しくない)

こちらも復習となりますが、否定に関してもBe動詞の場合と同じ方法で表すことができます。

  • 一人称(N) ⇒  主語の後ろに shi を入れる
    • Nshileefwaya kaloti. = I don't want a carrot.
  • それ以外 ⇒ 主語の前に Ta を付ける
    • Tauleefwaya kaloti. = You don't want a carrot. (単数, 敬意無し)
    • Tamuleefwaya kaloti. = You don't want a carrot.
    • Taaleefwaya kaloti. = He/She don't want a carrot. (単数, 敬意無し)
    • Tabaleefwaya kaloti. = They want a carrot.
    • Tatuleefwaya kaloti. = We want a carrot.

利用例

タクシーで街まで出たいとき
 A: Mwabombeeni mukwai, ndeefwaya ukuya ku town. (Hello, I want to go to town.)
 B: Eya mukwai, tuleeya nomba. (Yes, we are going now.)
 A: Nishinga? (How much?)
 B: 30 Kwacha. (30 Kwacha.)
 A: Cawama. OK, tuleeya. (That's nice. OK, we are going.)

表現・単語まとめ

  • 名詞 (括弧内は複数形)
    • kaloti (amakaloti) = carrot
    • apo (amaapo) = apple
    • motoka (amamotoka) = a car
  • 動詞
    • -fwaya = want
    • -ya = go
    • -lya = eat
    • -bomba = work
  • その他
    • nomba = now

2018年3月6日火曜日

名前, 職業を紹介する表現

今回は、前回・前々回に習ったBe動詞表現の特殊な場合として、名前や職業を示す際の表現について学習します。

Nine kafundisha (私は教師です)

英語では「私はザンビアにいます (I am in Zambia.)」「私は元気です (I am fine.)」「私は教師です (I am a teacher)」のいずれにおいても「I am」が用いられます。

ベンバ語でも「I am」には通常Be動詞の「ba (および li)」が使われますが、上記の3番目にあたる「何者であるか (名前, 職業) 」を示す場合に限り異なる表現が用いられます。

  • I am in Zambia. = Ndi mu Zambia.
  • I am fine. = Ndi bwino.
  • I am a teacher. = Nine kafundisha. (kafundisha = a teacher)

それぞれの人称による「... は教師です」の表現

各人称における表現は以下ようになります。

  • Nine kafundisha. (ニネ カフンディシャ) = I am a teacher.
  • Niwe kafundisha. (ニウェ カフンディシャ) = You are a teacher. (単数, 敬意無し)
  • Nimwe bakafundisha. (ニムウェ バカフンディシャ) = You are teachers. (複数)
  • Ni kafundisha. (ニ カフンディシャ) = He/She is a teacher. (敬意無し)
  • Ni bakafundisha. (ニ バカフンディシャ) = They are teachers.
  • Nifwe bakafundisha. (ニフウェ バカフンディシャ) = We are teachers.

補足1: Kafundisha と Bakafundisha

人名や職業の前に「Ba」を付けると「複数」または「敬意」を示す表現となります。

  • Mulenga (ムレンガ) = ムレンガ
  • Ba Mulenga (バ ムレンガ) = ムレンガさん
  • Kapokola (カポコラ) = 警察官
  • Bakapokola (バカポコラ) = 警察官さん (たち)

といったイメージです。
英語の「Mr」と複数形を兼ねたものと捉えてくれれば大丈夫です。

補足として、人名を指す際に既婚女性の場合は「ba」ではなく「bana = Mrs」となります (独身女性または不明の場合は「ba」です)。

文法上の Nine の解釈

会話の上では「Nine は名前や職業を表すときの "I am"」「Ndi はその他の場合の "I am"」と覚えてしまえば良いのですが、無理やり直訳すると以下のようになります。

  • Nine kafundisha. = It's (me) a teacher.
    • Ni = It's
    • ine = me
    • kafundisha = a teacher

同様に you, us の場合は以下のように分解できます。

  • Niwe kafundisha = Ni(it's) + iwe(you) + kafundisha(a teacher)
  • Nimwe bakafundisha = Ni(it's) + imwe(you) + bakafundisha(teachers)
  • Nifwe bakafundisha = Ni(it's) + ifwe(us) + bakafundisha(teachers)

he/she, they の場合は「Ni」の後に何もつきません。これは慣習によるものだと思ってもらうしかないです。

  • Ni kafundisha = Ni(it's) + kafundisha(a teacher)
  • Ni bakafundisha = Ni(it's) + bakafundisha(teachers)

補足2: 目的格の人称代名詞

上記で登場した「ine」や「ifwe」は、英語における 「me」「us」といった目的格の人称代名詞に対応します。一覧すると以下となります。

  • ine (イネ) = me
  • iwe (イウェ) = you (単数, 敬意無し)
  • imwe (イムウェ) = you (複数)
  • uyu (ウユ) = him/her (単数, 敬意無し)
  • aba (アバ) = them
  • ifwe (イフウェ) = us

この例に従うと「Ni uyu kafundisha.」や「Ni aba bakafundisha.」も成り立ちそうですが、通常は省略されて表現されます (文法上、付けても意味は通るはずですが)。 
これら目的格の人称代名詞については、別の投稿で改めて取り上げたいと思います。

Te ine kafundisha (私は教師ではありません)

文頭の「Ni」を「Te」に変化させることで否定表現となります。
また、この場合は「he/she, they」についても上記で紹介した人称代名詞が明示されます。

  • Te ine kafundisha. (テ イネ カフンディシャ) = I am a teacher.
  • Te iwe kafundisha. (テ イウェ カフンディシャ) = You are a teacher. (単数, 敬意無し)
  • Te imwe bakafundisha. (テ イムウェ バカフンディシャ) = You are teachers. (複数)
  • Te uyu kafundisha. (テ ウユ カフンディシャ) = He/She is a teacher. (敬意無し)
  • Te aba bakafundisha. (テャーバ バカフンディシャ) = They are teachers.
  • Te ifwe bakafundisha. (テーフウェ バカフンディシャ) = We are teachers.

表現例

  • Nine Hanako. = I am Hanako.
  • Ishina lyandi nine Taro. = My name is Taro.
  • Ni ba Musonda. = He is Mr.Musonda.
  • Ni uyu! = It's you!
  • Te ine shing'anga. = I am not a doctor.
  • Te aba abasambi. = They are not students.

単語・表現まとめ

  • 名詞 (括弧は複数形)
    • kafundisha (bakafundisha) = teacher
    • kapokola (bakapokola) = police officer
    • umusambi (abasambi) = student
    • shing'anga (bashing'anga) = doctor
    • ishina (amashina) = name
  • その他
    • ine = me
    • iwe = you (単数, 敬意無し)
    • imwe = you (複数)
    • uyu = him/her (単数, 敬意無し)
    • aba = them
    • ifwe = us
    • -andi = my

2018年3月5日月曜日

「私は ... にいません」の伝え方

今回は、「私は ... にいません」のような基本の否定表現を学習します。

Tamuli mu Zambia (あなたはザンビアにいません)

主語が「私 = N」以外については、主語の前に「Ta」を付けることで否定表現となります。

  • Tauli mu Zambia. = You are not in Zambia. (単数, 敬意無し)
  • Tamuli mu Zambia. = You are not in Zambia. (複数)
  • Taali mu Zambia. = He/She is not in Zambia. (敬意無し)
  • Tabali mu Zambia. = They are not in Zambia.
  • Tatuli mu Zambia. = We are not in Zambia.

「He/She is not」の「Taali」は、人や本によって「Tali」と省略して書かれることもあります。

Nshili mu Zambia (私はザンビアにいません)

「私 = N」の場合のみは特殊で、主語の直後に「shi」を入れることで否定表現とします。

  • Nshili mu Zambia. = I am not in Zambia.

この場合、N と L が連続しないため「li」が「di」に変化することはありません。


Be動詞, 現在形以外の場合

詳しくは別の機会にも学習しますが、動詞の種類や時制に関わらず基本的には同じ方式で否定表現にできます。

  • 主語が「私 = N」の場合 ... N の直後に shi を入れる
  • それ以外の場合 ... 主語の直前に Ta を入れる

例えば、動詞が「cita = do」であれば以下のようになります。

  • Ncita = I do.
  • Nshicita = I don't do.
  • Mucita = You do.
  • Tamucita = You don't do.

利用例

友人から今いる場所を尋ねられたとき
 A: Bushe muli pa citesheni? (Are you at the station?)
 B: Awe, nshili pa citesheni. (No, I'm not at the station.)

単語まとめ

  • 名詞
    • icitesheni = a station
  • 動詞
    • -cita = do
  • その他
    • awe = no
    • mu = in
    • pa = at
    • bushe = "?" (Question marker)

「私は ... にいます」の伝え方

今回は、「私は ... にいます」という表現について学習します。

Ndi mu Zambia (あなたはザンビアにいます)

「Ndi mu Zambia. (ンディ ム ザンビア)」という表現で、「私はザンビアにいます」「I am in Zambia」という意味になります。

単語ごとに英語との対応を表すと以下のようになります。

  • N = I
  • di = am
  • mu = in
  • Zambia = Zambia

ここから分かる通り、ベンバ語は英語と同じく主語の直後に動詞が来る構文が基本となります。

Muli mu Zambia (あなたはザンビアにいます)

ここで表現を「あなたはザンビアにいます」に変更する場合、「N = 私」の代わりに「Mu = あなた」を使って以下の表現となります。


  • Muli mu Zambia. = You are in Zambia.


ここで、Be動詞にあたる部分にも違い(li ≠ di)があることに気づくかと思います。
ベンバ語には「N の直後に来る L は D になる」というルールがあり、そのため「私」の場合には「Nli mu Zambia.」ではなく「Ndi mu Zambia.」となっています。

主語人称代名詞

「私」と「あなた」以外も含めると、人称代名詞の主語表現は以下のものがあります。

  • N = I
  • U = You (単数, 敬意無し)
  • Mu = You (複数)
  • A = He / She (単数, 敬意無し)
  • Ba = They
  • Tu = We

このうち「U = You」と「A = He/She」は敬意を伴わない表現で、敬意を示す場合は単数でも「Mu」と「Ba」を使います。「Mu = あなた」「U = あんた」のようなイメージです。

会話の際は「子供を指す際は U, A」「大人を指す際は Mu, Ba」あたりを基準として使い分けると楽ですが、面倒であれば「常に Mu, Ba」としても実用上は問題ありません。

... はザンビアにいます

以上を踏まえ、人称代名詞ごとに「... はザンビアにいます」を表現すると以下のようになります。

  • Ndi mu Zambia. = I am in Zambia.
  • Uli mu Zambia. = You are in Zambia. (単数, 敬意無し)
  • Muli mu Zambia. = You are in Zambia. (複数)
  • Ali mu Zambia. = He/She is in Zambia. (敬意無し)
  • Bali mu Zambia. = They are in Zambia.
  • Tuli mu Zambia. = We are in Zambia.

補足: Be動詞 "ba" の活用

通常、ベンバ語の動詞は決まったルールで活用が行われ、英語の「speak, spoke, spoken」といった不規則な活用を大量に暗記する必要はありません。

しかし不規則動詞も無いわけではなく、Be動詞はそのうちの1つです (他に代表的なものとして「have = kwata」があります)。

Be動詞は、以下2種類の時制で使われる場合のみ「li」となります。
  • (時制なし) Muli mu Zambia. = You are in Zambia.
  • ("a" 時制) Mwali mu Zambia. = You were in Zambia.
未来形や不定形など、上記以外で用いられる際には全て「ba」となります。
  • ("ka" 時制) Mukaba mu Zambia. = You will be in Zambia.
  • (不定形) Mulefwaya ukuba mu Zambia. = You want to be in Zambia.

ベンバ語の時制は英語や日本語よりも細かく分かれるため、「現在と過去は li になる」ではなく「時制なし と "a" 時制 の場合に li になる」である点に注意が必要となります。時制についてはまた別の投稿で学習するので、今のところ詳細は気にしなくても大丈夫です。

利用例

友人に今いる場所を確認する
 A: Muli kwisa? (Where are you?)
 B: Ndi ku sukulu. (I'm at school.)
 A: Eya mukwai, twalamonana. (OK, we will meet.)

単語・表現まとめ

  • 名詞
    • isukulu = a school
  • 動詞
    • -ba = be
    • -monana = meet / see one another
  • その他
    • mu = in
    • ku = to / at
    • kwisa = where

状態に応じた挨拶

今回は、Situational Greeting (状態に応じた挨拶) を学習します。

Situational Greeting とは?

ベンバ語では、「座っている」「働いている」「食べている」といったような相手の動作状態(Situation)に応じて挨拶の表現を使い分けることができます。

例えば、働いている人には「Mwabombeeni (bomba = work)」、食べている人には「Mwaliileeni (liila = eat well)」、座って休憩している人には「Mwaikaleeni (ikala = sit)」といった挨拶に変化します。

Situational Greeting の形式

Situational Greeting には以下3つの表現形式があります。いずれも形式も、相手の状態を示す動詞を当てはめることで挨拶となります。(例文の「shibuka」は「wake up」を意味する動詞です)

  • Mwa + 動詞原形 + eni.
      ... 例. Mwashibukeeni (Mwa + shibuka + eni)
  • Mwa + 動詞原形 + shaani?
      ... 例. Mwashibuka shaani? (Mwa + shibuka + shaani?)
  • Mwa + 動詞原形 + (fye) + bwino.
      ... 例. Mwashibukafye bwino. (Mwa + shibuka + fye + bwino.)
               または Mwashibuka bwino. (Mwa + shibuka + bwino.)

上記での例文はいずれも「おはよう」を意味しますが、直訳表現としては以下のような違いがあります。

  • Mwashibukeeni. ... You have waken up. *
      * 厳密には直訳困難 ("You have waken up. (Mwashibuka)" に "eni" が付いた形)
  • Mwashibuka shaani? ... How have you waken up?
  • Mwashibukafye bwino. ... You have just waken up well.

返答は、「Mwashibuka shaani?」に対しては「Ndifye bwino. (I'm fine.)」で、他の2つは「Eya mukwai. (Yes, sir.)」です。簡略に「Bwino. (Fine.)」や「E'e. (Yes.)」と返してしまっても構いません。

どのような動詞でも挨拶に出来る?

文法の上ではどのような動詞を入れても挨拶になりますが、頻繁に使われる表現は限られています。わざわざ相手の厳密な動作を判断する必要はありません。

極端に言えば、朝は「Mwashibukeeni. (shibuka = wake up)」、昼は「Mwapoleeni. (pola = be well)」か「Mwabombeeni. (bomba = work)」を使えば一般に誰でも当てはまるので間違いがありません。

少し現地慣れを気取りたいときには、それ以外のもの(次節で紹介します)を使ってみると良いでしょう。

挨拶の例

  • Mwa + 動詞原形 + eni.
    • おはよう ... Mwashibukeeni. (shibuka = wake up)
    • こんにちは (いつでも) ... Mwapoleeni. (pola = be well)
    • こんにちは (仕事中) ... Mwabombeeni. (bomba = work)
    • こんにちは (食事中) ... Mwaliileeni. (liila = enjoy / eat well)
    • こんにちは (休憩中) ... Mwaikaleeni. (ikala = sit / stay) 
    • こんにちは (移動中) ... Mwatandaleeni. (tanda = walk / visit)
    • こんにちは (勉強中) ... Mwasambilileeni. (sambilila = study)
    • ようこそ ... Mwaiseeni. (isa = come)
  • Mwa + 動詞原形 + shaani?
    • おはよう ... Mwashibuka shaani?
    • こんにちは (仕事中) ... Mwabomba shaani?
    • こんにちは (休憩中) ... Mwaikala shaani?
  • Mwa + 動詞原形 + fye + bwino.
    • おはよう ... Mwashibukafye bwino.
    • こんにちは (仕事中) ... Mwabombafye bwino.

1つ目の形式だけ多いのは、動詞によっては他形式の表現を実際に聞いたことがないためです。文法上は挨拶になるので、単に私の経験がないだけでザンビア人同士では使っているのかもしれません。

利用例

職場で同僚と出会ったとき
 A: Mwabombeeni mukwai. (Hello, good working.)
 B: Eya mukwai. Mwabomba shaani? (Yes, sir. How are you working?)
 A: Bwino saana. (Very well.)
 B: Ciisuma. (It's nice.)

知人の家に尋ねたとき
 A: Odi? (May I come in?)
 B: Kalibu! (Please come in!)
 B: Mwaiseeni mukwai. (Hello, good to come.)
 A: Eya mukwai. Mwaikaleeni mukwai. (Hello, you are resting well.)
 B: E'e, natotela. (Yes, thanks.)

単語・表現まとめ

  • 動詞
    • -shibuka = wake up
    • -pola = be well / heal
    • -bomba = work
    • -liila = enjoy / eat well
    • -ikala = sit / stay
    • -tanda = walk / visit / travel
    • -sambilila = study
    • -isa = come
    • -suma = be nice / be good

文字と発音

今回は、ベンバ語の文字と発音について学習します。

ベンバ語で使われる文字

ベンバ語は独自の文字を持たない言語です。
そのため、文章にする際には英語のアルファベットを利用します。

発音の基本

日本人にとっては有難いことに、ベンバ語の発音はいわゆる「ローマ字読み」と概ね一致します。例えば「Kalulu (うさぎ) ⇒ カルル」「Isabi (魚) ⇒ イサビ」といった形で、子音と母音の組み合わせで一音ずつ発音が行われます。

子音によっては「Icalo (国) ⇒ イチャロ」のように読みが異なるものもありますが、直ぐに慣れるので苦労することはないはずです。

ベンバ語の母音

ベンバ語の母音は日本語と同じく a i u e o で、発音は ア イ ウ エ オ です。
英語のように「a = エィ」「o = オゥ」などと発音する必要はなく、ローマ字読みそのままの ア イ ウ エ オ です。

また、長音(アー, イー, ウー, エー, オー)は同じ母音を連ねることで表されます。
例えば「abaana (子供たち) = アバーナ」「icooni (鳥) = イチョーニ」です。

しかしながら、母音を重ねずに「abana」「iconi」と省略して書かれることも多く、音を伸ばすか伸ばさないか判断が難しい場合もあります。明確なルールがないのか辞書によっても異なることがあるくらいなので、あまり神経質にならないことをお勧めします。

とはいえ、このブログでは可能な限り発音に沿った綴りを心がけていきます。

ベンバ語の子音

ベンバ語の子音は b c d f g j k l m n ng' p s sh t w y です。
h, q, r, v, x, z は使われません(外来語や地名では登場することがあります)。

それぞれ母音と合わせると↓のような発音になります。
ローマ字読みと異なる部分は赤色にしています。

a(ア) i(イ) u(ウ) e(エ) o(オ)
ba(バ)bi(ビ)bu(ブ)be(ベ)bo(ボ)
ca(チャ) ci() cu(チュ)ce(チェ) co(チョ)
da(ダ)di(ディ)du(デュ)de(デ)do(ド)
fa(ファ)fi(フィ)fu(フ)fe(フェ)fo(フォ)
ga(ガ)gi(ギ)gu(グ)ge(ゲ)go(ゴ)
ng'a() ng'i() ng'u() ng'e() ng'o()
ja(ジャ)ji(ジ)ju(ジュ)je(ジェ)jo(ジョ)
ka(カ) ki(キ) ku(ク) ke(ケ) ko(コ)
la(ラ) li(リ) lu(ル) le(レ) lo(ロ)
ma(マ) mi(ミ) mu(ム) me(メ) mo(モ)
na(ナ) ni(ニ) nu(ヌ) ne(ネ) no(ノ)
pa(パ)pi(ピ)pu(プ)pe(ペ)po(ポ)
sa(サ) si(シ) su(ス) se(セ) so(ソ)
sha(シャ) shi(シ) shu(シュ) she(シェ) sho(ショ)
ta(タ) ti(ティ) tu(トゥ) te(テ) to(ト)
wa(ワ) wi(ウィ) wu(ウ) we(ウェ) wo(ウォ)
ya(ヤ) yi(ユィ) yu(ユ) ye(ユェ) yo(ヨ)

ng' は ŋ と表記されることもあり、g を鼻に掛かるように喉の奥で行う発音 (鼻濁音) です 。小さく n を付けて "ゴ" のように発音すると自然と鼻濁音になります。

y や w との組み合わせ

各子音に y や w を組み合わせた発音もベンバ語では頻繁に利用されます。
例えば「fwa(フヮ)」「nya(ニャ)」「mwi(ムウィ)」「kwa(クヮ)」「dye(デェ)」等で、日本での拗音にあたるものです。

発音としては、y との組み合わせに関してはローマ字読みと同じです。例えば子音が b であれば「bya(ビャ), byi(ビィ), byu(ビュ), bye(ビェ), byo(ビョ)」です。

w との組み合わせに関しては子音の u 行に「wa(ワ), wi(ウィ), wu(ウ), we(ウェ), wo(ウォ)」を連続して発音します。例えば b であれば「bwa(ブヮ), bwi(ブウィ), bwu(ブゥ), bwe(ブウェ), bwo(ブウォ)」となります。

単語・表現まとめ

  • kalulu = rabbit
  • isabi = fish
  • icalo = country, world
  • abaana = children
  • icooni = bird

2018年3月4日日曜日

朝, 昼, 晩 の挨拶

今回は、朝・昼・晩の時間帯に応じた挨拶を学習します。

Mwashibukeeni (おはよう)

「Mwashibukeeni. (ムワッシブケーニ)」は朝の挨拶です。「おはようございます」や「Good morning」に対応します。

相手から挨拶されたら「Eya mukwai. (エヤ ムクワイ)」と返しましょう。親しい間柄であれば、「E'e(エーェ)」と短く返しても良いでしょう。どちらも「Yes」を意味しますが前者の方が丁寧な表現です。

なお、英語への厳密な直訳は難しいのですが、「Mwashibuka. (ムワッシブカ)」が「You have waken up.」という意味で、その末尾に丁寧表現の一種である「eni」がくっつくことで挨拶となります。

Mwapoleeni (こんにちは)

「Mwapoleeni. (ムワポレーニ)」は昼の挨拶です。「こんにちは」や「Hello / Good afternoon」に対応します。返答は同じく「Eya mukwai.」です。

直訳としては「Mwapola. (ムワポーラ)」が「You have been well.」という意味で、それに「eni」がついて挨拶となる形です。

なお、詳しくは別の投稿で紹介しますが、ベンバ語では「Mwa + 動詞 + eni.」形式の表現を使うことで相手の状態に応じた挨拶を行うことができます。例えば食事中の人には「Mwaliileeni. (ムワリィレーニ)」、休憩している人には「Mwaikaleeni. (ムワィカレーニ)」といったように挨拶が変化します。

Cungulo mukwai (こんばんは)

「Cungulo mukwai. (チュングロ ムクワイ)」は夕方~夜の挨拶です。「こんばんは」や「Good evening.」に対応します。
「po」を付けて「Cungulopo mukwai. (チュングロポ ムクワイ)」と言うこともできます (表現が少し丁寧になります)。返事は例によって「Eya mukwai.」です。

なお、「cungulo (チュングロ)」は「夜 = evening」という意味なので、日本語で直訳すると「お晩です」が近い表現です。

Mukwai って何?

ところで、先ほどから「Eya mukwai.」や「Cungulo mukwai.」にくっ付いている「mukwai (ムクワイ)」は何を表しているのでしょうか?

ベンバ語の会話では最頻出の単語なのですが、困ったことに日本語や英語には直接対応する言葉がありません。近い表現としては「Sir / Madam」で、「文末に付けると尊敬を表す」という効果があります。

「Muli shaani mukwai.」や「Mwashibukeeni mukwai.」といったように他の挨拶に付けることもできますし、挨拶以外の会話に付けることもできます。
会話中の相槌などにも使われるため、とにかく会話では頻繁に出てきます。「Muli shaani?」と並んでベンバ語を代表する言葉と言ってもいいでしょう。

利用例

朝、友人に挨拶をする場合
  A: Mwashibukeeni. (Good morning.)
  B: Eya mukwai, mwashibukeeni na imwe. (Yes, good morning you too.)
  A: E'e, natotela. (Yes, thanks.)

単語・表現まとめ

  • 動詞
    • -bomba = work
    • -shibuka = wake up
  • 名詞
    • icungulo = evening
  • その他
    • mukwai = sir / madam (丁寧/尊敬表現)
    • na imwe = you too / and you

初めに覚える挨拶

今回は、ベンバ語の基本挨拶である「Muli shaani? (ムリ シャーニ?)」について学習します。

Muli shaani?(ご機嫌いかが?)

「こんにちは」が日本語を代表する挨拶であるように、ベンバ語では「Muli shaani? (ムリ シャーニ?)」が最も一般的な挨拶です。

ザンビア人と話す機会があれば、まずは「Muli shaani?」と挨拶してみましょう。
英語で声を掛けるよりもフレンドリーに接してくれるはずです。

「こんにちは」や「Hello」と同じく、場所や時間の限定はありません。気兼ねなく使いましょう。なお、直訳的には「How are you?」や「ご機嫌いかが?」を意味するフレーズです。

「Muli shaani?」と挨拶されたら?

向こうから「Muli shaani?」と挨拶されたら「Ndifye bwino. (ンディフェ ブウィーノ)」と返しましょう。

英語で「How are you?」と挨拶されたら「I'm fine.」と返事をするのと同じように、「Muli shaani?」と「Ndifye bwino.」でワンセットです。(実際には、英語ネイティブが I'm fine. と答えることは少ないようですが)

英語に直訳するとどうなる?

最初なので「Muli shaani? と Ndifye bwino. でセットなのだ」と単純に暗記しまえば良いのですが、参考までに英語との対応も紹介します。

  • Muli shaani? = How are you?
  • Ndifye bwino = I am just fine.
    (直訳すると just を含みますが、単に「I am fine.」と訳されることも多いです)

より細かく掘り下げると以下のようになります。
  • mu = you
  • li = are
  • shaani? = how?
⇒ Mu(you) li(are) shaani(how)? = How are you?

  • n = I
  • di = am
  • fye = just
  • bwino = fine
⇒ N(I) di(am) fye(just) bwino(fine). = I am just fine.


↑から分かる通り、「Muli shaani?」への返答は「just = fye」を抜いて「Ndi bwino. = I am fine.」と短くすることもできます(ただし fye を付ける方がより一般的です)。
また、形式的な場でなければ「Bwino. = Fine.」だけで済ませてしまっても大丈夫です。状況に応じて使い分けましょう。

利用例

道で友人と会ったとき
  A: Muli shaani? (How are you?)
  B: Ndifye bwino. Muli shaani? (I'm fine. How are you?)
  A: Bwino bwino, natotela. (So good, thanks.)
  B: E'e, natotela saana. (OK, thanks a lot.)

単語まとめ

  • E'e = yes
  • shaani = how
  • bwino = fine / well / good
  • fye = just / only
  • saana = very / much

学習リソース

ベンバ語の学習に入る前に、私自身が参考にしている各種リソースを紹介します。
なお、価格などは投稿時点(2018年)の情報です。

英語や日本語ほど文法が整理されていないため、文献によって書いてあることが異なることも多々あります。そのため、しっかりと文法を理解したい場合は複数のリソースを比較参照しながら進めていくことが必要になります。

書籍


私が知っている中では一番のおすすめで、ベンバ語を独学するなら最初に手に取るべき本です。2015年発行で、日本でも Amazon から購入することができます。
20ページほどにまとめられた文法基礎に加え、フレーズ集(約10ページ)と単語集(約40ページ)がついてきます。

ただ、文法の学習項目が難易度順ではなく品詞順で進むため、1ページ目から読み進めようとするとかなりの苦労をすると思います。いきなり文法から入るのではなく、ある程度フレーズを暗記してから取り掛かると学習しやすいです。

なお、青年海外協力隊(ザンビア派遣)であれば、現地語学訓練の参考書として配られるそうです(2018年現在)。



Bemba Pocket Dictionary

初版が1960年の古い辞書ですが、残念ながら簡単に手に入る辞書がこれ以外にはありません。独学の上では手元に置いておきたい本です。現地であれば600円くらいで販売されています。



An Outlilne of Icibemba Grammar

発行が1977年の少し古い本です。こちらも Amazon で購入できます。ザンビア現地でも500円くらいで書店に並んでいることがあります。

1冊目のものに比べると情報のまとめ方がごちゃっとしており、読み進めるには苦労が伴います。ですが1冊約60ページが丸ごと文法の話なので、1冊目の補完として持っていると便利です。



Speak Zambian Languages

2013年発行で、現地の書店で600円ほどで売っています。ザンビアで主に使われている7つの現地語それぞれのフレーズ集が1冊になっています。

1現地語ごとに20ページほどしかありませんが、ベンバ語以外の現地語にも興味のある人は買っておいて損がないかと思います。



現地の小学生向け教科書

ザンビアの小学校によっては Local Language という科目があるため、現地ではベンバ語科目の教科書も売っています。
また、英語や算数の教科書も「英語版」と「現地語版」の2種類がある出版社もあり、両方を手に入れれば比較によって表現を対訳することができます。

ただし、現地語の教科書は書店に並んでいることが少なく、見つけても「×年生の教科書しかない」といったことが多いです。購入機会が一期一会のため、本気で手に入れたい場合は出版社に直接掛け合った方が良いかもしれません。



現地語の小説

現地の書店ではほぼ100%英語書籍しか並んでいませんが、僅かながら現地語の文学作品も売られています。1冊250~500円くらいです。

当然ながら英語訳はありませんが、辞書を片手に読解を進めてみると良い勉強になるかと思います。語学目的だけでなく現地文化に触れる上でも貴重なリソースです。

Webサイト

Bemba grammar notes for beginners
ベンバ語の文法参考書です。1957年に発刊されたもののようです。フロリダ大学のデジタルライブラリで無料公開されています。


Lessons in Chibemba, being one hundred easy graded lessons
こちらもベンバ語の文法参考書です。同じくフロリダ大学のデジタルライブラリで無料公開されています。発刊が1930年なのでかなりの年代ものです。


Kitwe On Line: Bemba Lessons
(たぶん)ザンビアの方が運営しているWebサイトです。日常会話中心で文法には殆ど触れていません。フレーズ集として活用できるかと思います。


はじめに

はじめまして。
このブログは、アフリカ南部のザンビアという国で話されている「ベンバ語(Icibemba)」を学びたい方のために開設しました。
おそらく極めて僅かな需要しかないと思いますが、誰かしらのお役に立てたら嬉しいです。

ベンバ語ってどこの言葉?

主にアフリカ南部の内陸国である「ザンビア」という国で話されています。
ザンビアには大きく分けて7つの現地語があり、その中でもベンバ語は人口の50%以上の人が話せるメジャーな言語です。

特にザンビア北部の各州(コッパーベルト州, ルアプラ州, 北部州)では日常語として使われています。ザンビア北側の隣国である「コンゴ民主共和国」の一部(カタンガ州)でも話されているようです。


ちなみにザンビアの第一公用語は英語です。児童と御年輩の方を除けば、程度の差こそあれ英語での意思疎通ができます。そのため、英語を多少話すことが出来れば現地語を知らなくても旅行や滞在に困ることはありません。

筆者について

私は2年間、青年海外協力隊という海外ボランティア制度によってザンビアに滞在していた者です。当時の赴任先はコッパーベルト州の「ンドラ(Ndola)」という都市で、ベンバ語が主要言語として使われている地域でした。
現地では高校の教師として活動していました。いまは日本の民間企業で働いています。

なんでこのブログを作ったの?

ボランティア活動の当時は、現地での授業や会話はすべて英語で行っていました。ベンバ語も覚えたかったのですが、学習資料の少なさや活動の忙しさに負け、結局は挨拶程度しか覚えずに任期を終えてしまいました。

活動の上で不都合はなかったのですが、もし話せていたら更に色々なことが出来たのではないかと帰国してから悔しくなり、手遅れであるにも関わらず勉強を始めました。

そのついでに、他にもベンバ語を学習したい人がいるかもしれないと思い、学習内容を整理してブログにまとめることにした次第です。ベンバ語を学びたいという日本人は極めて僅か(おそらく世界で100人未満)に違いありませんが、地道にまとめていこうと思います。

免責のお願い

本ブログは個人の趣味としてベンバ語を勉強している人間によって書かれたブログです。現在筆者は日常的にベンバ語を利用する環境にはおらず、加えて、ベンバ語自体も明確に標準語が確立している言語ではありません。

そのため「文法的に正確でない」「実際にはそんな表現は使われない」という点も出てしまうとは思いますがご容赦のほどお願いいたします (反対に、そういった点を見つけた際には教えて頂けると有難いです)。